この本は題名の通りにキリンの解剖をしていく過程を記したものとなっています。


本の概要

著者は小さい頃に生き物が好きで、特にキリンに惹かれていたようです。東京大学に進学後、やりたいことを探していたときに、自分がキリンのことが好きだったことを思い出し、キリンの解剖を学部生時代から始めていきます。

解剖というと死因究明のために行われることが多いイメージではあると思いますが、今でも研究者たちは様々な動物たちの解剖を行い多くの発見をしていっています。

現代の生物研究ではミクロな視点で細胞内のことだったり物質の作用だったりを調べていることが多いのですが、そんな時代の中でマクロな視点で解剖を行って研究を進めていく様子をこの本では見ることができます。

キリンの解剖とは

キリンを解剖する際には、動物園で亡くなったキリンを引き取るという方針を取ります。このときにキリンの解剖だからこそある苦労というのも見て取れます。

キリンというのは体が大きく、解剖の場所まで運ぶのが難しいので、軽く解体してから運ぶ必要があります。その解体の仕方によって、見たい場所が見られないといった問題が出てくるわけです。そんな特殊な状況だからこその苦労があり、それと奮闘している様子も書いてあります。

キリンに潜む謎を解明!?

あんなに長い首を持つキリンですが、首の骨の数は人間と変わらないって知っていますか?実は、キリンも人間も首の骨の数は7個と決まっており、違いは骨の大きさなのです。

しかし、ここで新たな説が浮上します。「キリンには首の骨がもう1個あるのではないか」という説です。今まで常識だと思っていたキリンの首は7個という説に反する説が出てきたのです。それを実際に解剖して解き明かそうとしたのがこの本の著者の郡司芽久さんなのです。

実際にその研究の様子もしっかりと詳しく書かれています。

私の感想

私自身が研究室に通っていることにより共感できる部分、違う分野だからこそ知れる新たな研究の一面、というのを感じることができました。

研究と言うと堅苦しいイメージですが、このようにわかりやすいテーマだと誰にでも読みやすいものになるのだなと思います。

まとめ

研究に触れていない人にとっては研究がどういうものかというのを知るための分かりやすい例となっていて、普段研究を行っている人も動物解剖特有の楽しさや苦労を感じ取ることができると思います。

この「キリン解剖記」をぜひ手に取ってみてください!