私たちは生きている限りどんどん老いていきます。この体の変化を見ても時間の流れというものを感じると思います。しかし、その実体というのを掴むことはできず、本当に流れているのかというのを頭で理解するのは難しいですよね。この本では、そんな「時間」というものについて考えていってます。



時間の流れはどこでも同様なのか

普通の人は、みんな一様なペースで年を取っていき、同じように時間を感じていると思っているでしょう。つまり、どこでも均一に時間の流れがあると。しかし、それは本当でしょうか。

実は、時間の流れる速さは場所によって異なっています。重力が大きい場所だったり、速い乗り物の中だったりすると、時間の速さは変わっていきます。それを証明する実験として、超精密な原子時計を使ったものがあります。

地球の重力は標高が高い方が小さくなります。そのため、同じようにセットした原子時計を山のてっぺんに持って行くと、ほんの少しだけ時計がずれるわけです。速い乗り物に原子時計を乗せた場合も同様です。

これらの結果から、時間は均一でないということがわかります。

時間は流れていない!?

時間が場所によって異なるということは、時間が全体を流れているという考えは間違ったものになります。これは、空間と同様に、時間にも広がりがあって、それぞれの場所に時間というものが存在することを意味します。

もちろん、場所によって時間がずれるからということだけでなく、色々な理由がこの本には書かれています。様々な実験や考察を通して「時間って実は流れていないのかもな」と考えることができると思います。

なぜ時間は流れているように感じるのか

そうは言っても、私たちは時間の流れというものを感じているはずです。では、なぜ時間は流れているように感じるのでしょうか。

過去から未来へ、という時間の向きがある大きな理由の1つとして、ビッグバンという存在があります。ビッグバンは、宇宙が始まったときに起こった大爆発のことですね。ここを起点としているから、時間はそこから遠ざかっていく向きが生まれるわけです。ビッグバンからはエントロピーが増大し続ける不可逆変化が起こり続けており、これによって時間が逆戻りすることなく向きを持ったものとなっています。

他にも、量子論、人間の体の仕組み、の観点から時間が流れているように感じる理由と、時間に向きがあるからこそ生じるタイムパラドックスについて語っています。

まとめ

時間を理解する、という難しい話題であるため、それなりの物理的知識が要求される本ではあると思います。しかしながら、高校生までの知識があれば理解できるように、様々な例を挙げながら説明されています。物理に興味がある人、時間ってたしかに不思議と思う人、は読んでみると時間に対する考え方が大きく変わると思います。

この「時間はどこから来て、なぜ流れるのか?」をぜひ手に取ってみてください!