東大受験を考えたことのある人なら聞いたことあるはずの「進学選択」。以前は「進学振分け」と呼ばれていたものですね。このシステムは人によっては大学に入ってからも選択肢があるという嬉しいものである反面、大学に入ってからも頑張らなければならないという意味では嫌なシステムでもあります。
今回は、この進学選択について、システムの解説、実際に東大生はどう進学選択をしているのか、進学選択の難易度と対策、進学選択に対する私の考え、について語っていこうと思います。
進学選択とは
そもそも進学選択とはどういうものなのかという話です。
進学選択は、大学に入ってからどの学部学科に進むのかというのを決められるシステムになっています。どの学科にも定員があり、定員を超える場合には成績順に受け入れることになっています。そのため、東大生は大学に入ってからも競争を続けさせられるわけです。
このシステムの大事な点は「科類ごとに入りやすい学科が違う」ということです。例えば、理科三類で入学すれば単位さえ取っていれば医学部医学科に入ることができるのに対し、文科一類で入学するとかなりの高得点を要求されます。そのため、受験の時からある程度自分の興味に合わせた科類で受けておくと、入学してから楽になるということです。
実際の進学選択の現場
東大生たちは実際にどのような感じで進学選択をしているのでしょうか。
入学時点で進路を決めているという人ももちろんいます。はっきりとこの学科に進みたいと考え入学し、そこに入れるだけの点数を取って進学するという場合ですね。理科三類の人たちは基本的に医学部医学科に行くと考えて(特に面接が導入された2018年以降は)入学しているはずです。
しかし実は、東大生の多くが大学に入る時点では具体的な進路を決めていないらしいです。入学時点で進学先を決めているという人はごくわずかで、半数以上が進路選択直前になって進路決定をするというアンケート結果もあります。なんとなくの興味で入学し、授業を受けていく中で段々と好きな分野を見つけ、最終的に自分の点数と照らし合わせて進学先を確定するわけですね。
自分の好きな分野が全然決まらない人の場合には、自分の点数でいける学科の中で1番人気な学科に入るということもあるそうです。あまり良い決め方ではない気がしますが、このシステムでは致し方ないのかもしれません。
私は現在東大医学部に通いながらブログを書いています。 ブログでは「田舎の公立高校から3年間の独学で東大理三に現役合格した勉強法」と題した大学受験対策記事を中心に、勉強になる本の紹介、英検などの資格検定対策、一般の方でもわかりやすい本格的な医学記事、東大の内部事情、などなど色々書いているので、ぜひそちらも読んでいただきたいです。 ブログの宣伝もほどほどに本題に入っていきます。今回は、進路について、特に大学受験における志望校選択について、私の考えを述べていきたいと思います。 私がなぜ東大医学部を選んだのか 東大医学部生として他の大学の人たちや高校生と関わっていると、よ
進学選択の難易度
進学選択で自分の行きたい学科に本当に行けるのでしょうか。
結論から言うと、よっぽど得点が必要な場合でない限りきちんと勉強すればその学科に行けると思います。よっぽど得点が必要というのは文科類から医学部医学科に行くようなパターンで、難しい学科でも定員をきちんと取っている科類からであればどうにでもなると思います。
なぜそう言えるのかというのにはある程度きちんとした理由があります。
1~2年生の教養学部時代では必修授業と選択授業があり、それらの平均点で自分の点数というのが決まります。
まずは必修授業で最低限の点数をとることが必要になってきます。興味の持てない授業も多いかとは思いますが、これらの授業はもちろん同じクラスの人々が全員受けているものなので、協力し合いきちんと勉強すれば80点は普通に取れるようになっています。
次に選択科目ですが、これは自分の好きなものを選ぶことができるので、やる気も出やすくさらに高得点を狙っていけると思います。ここで点数を稼いでいるという人も多い印象です。レポートで評価する科目などは純粋な努力量が反映されることもあり、頑張って点数を取りたい人はそういう科目を選んで頑張るということもできます。
選択科目のうち、点数の高い順に指定の科目数だけ点数として加えられ、それ以外の科目は0.1倍換算になります(下の図を参照)。そのため、点数の悪い科目を作ってしまった場合には、他の点数の良い科目で追い出しをすることができます。頑張りしだいで挽回ができるということです。
「必修科目をそれなりに頑張り、選択科目で本気になる」というだけで平均85点程度は東大に受かった人であれば取れるようになっています。この点数であればほとんどすべての学科に進むことができるはずです。
進学選択に対する私の考え
進学選択というシステムに私はどちらかというと賛成です。高校までに自分のやりたいことを見つけるというのは意外と大変なことです。高校までの学力をつけて色々なことを見分ける能力がついたうえで、大学1年生という時間のある時にたくさん調べて考えて自分の進む道を決められるというのは良いことなのではないでしょうか。
もちろん、大学に入ってからも興味のないことまで頑張って勉強しなくてはならないとか、先生によって全然授業やテストが違うので公平じゃないとか、色々とめんどくさい部分があるのは事実です。興味のないことを頑張って勉強することで見える世界があったり、公平じゃないのが世の中なのだと知れたり、そういう良い機会になると思います。
高校までの狭い世界じゃなく、少しでも広がった世界を味わってから進路を決められるのが東大です。そういう意味でも東大に入ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
進学選択というシステム、そしてその良い点悪い点、が分かっていただけたでしょうか。ある程度の努力で他の大学より有意義な大学生活が送れるのは事実だと思います。当たり前ですが優秀な人たちと多く触れあえる大学であることも確かです。
進路が決まっていない人は、東大に入学し、そして進路を見つけ出し、頑張って勉強し、行きたい学科に進学する、というのをオススメします。
誰でも独学でできる大学受験対策について、トップレベルの東大生が試行錯誤して成績を伸ばしてきた経験から色々な記事を書いています。 大学受験参考書 受験勉強体験記 勉強法総論 科目別勉強法
東京大学では教養学部時代に第二外国語を履修します。その際に注目されるのがTLPです。名前だけは聞いたことがあるという東大志望の受験生でも詳しい内容は知らないと思います。 実際に中国語TLPに所属した私が詳しく説明していこ …