組織学

筋組織は、体を動かすための組織です。筋組織は主に3つの種類に分かれており、それぞれについて特徴と構造を語っていきます。

平滑筋

平滑筋は、自分の意志では動かせない不随意筋の一種です。

これを構成するのは長い紡錘形の細胞で、長さは20200㎛ほどです。細胞にはカベオラという陥没構造が見られ、細胞膜直下には筋小胞が内接しています。

筋肉を動かすのはアクチンフィラメントとミオシンフィラメントによってできた繊維たちです。平滑筋細胞では、これらが多方向に拡散しています。アクチンフィラメントの端は暗調小体に固定されており、暗調小体は中間径フィラメントに固定されています。ミオシンフィラメントによってアクチンフィラメント同士が近づくと、暗調小体同士も近づき、細胞全体が収縮します。

収縮にはカルシウムイオンが必要となるのですが、それはカベオラから取り込むか、筋小胞から分泌することによって賄われます。

平滑筋のカルシウムイオンの分泌を促す刺激には3つの種類があります。1つ目は、機械的刺激で、血管の平滑筋が血圧の変化によって引き延ばされるような場合です。2つ目は、電気的刺激で、神経によって起こされます。3つ目は、化学的刺激で、ホルモンなどが細胞膜上の受容体に結合することによって起こります。

心筋

心筋は、心臓の筋肉で不随意筋の一種です。

形の特徴としては、細胞の端は分岐しており、その先で他の細胞の端と介在板を介して結合していることが挙げられます。そのため、全体としては網目状に見えます。

心筋では、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントによる繊維たちは同方向に配列しています。アクチンフィラメントの端はZ板に固定されており、アクチンフィラメント同士が近づくとZ板同士が近づき、繊維の方向に収縮します。最も端にあるアクチンフィラメントは介在板に固定されています。

心筋細胞の細胞膜は基底膜につつまれ、T管として内部に深く入り込んでいます。T管に電気信号が伝わると、T管からカルシウムイオンが放出されます。そのカルシウムイオンを感知して筋小胞から大量のカルシウムイオンが放出され、それが筋肉収縮を引き起こします。

骨格筋

骨格筋は、随意筋です。つまり、私たちが普段意識して動かしている筋肉はすべて骨格筋にあたります。

骨格筋の個々の筋繊維、つまり筋肉の細胞は、複数の細胞がくっついてできており、核が複数あります。筋繊維を包む細胞膜のことを筋鞘といい、核は筋鞘に接して存在しています。

結合組織は3種類あり、個々の筋繊維を包む筋内膜、複数の筋繊維を束ねて筋束を作る筋周膜、筋肉全体を包む筋膜、です。

筋肉が収縮する仕組みは以下のようになっています。まず、神経に電気信号が送られてくると、神経細胞からアセチルコリンが放出されます。それが筋内膜によって認識されると、ナトリウムイオンが筋細胞内に流入します。それによってできる電位変化がT管に伝わっていき、筋小胞体のカルシウムイオンを放出することになります。これによって、筋収縮が起こるわけです。



まとめ

3種類の筋肉について、大まかな構造とその特徴を述べてきました。これらは最低限知っておいてほしい内容となっているので、ぜひ覚えておいてください。