組織学

皮膚は体全身を覆っており、体を守っています。また、触覚なども皮膚で感じています。

その皮膚ですが、実はかなりたくさんの層でできています。表面側から表皮、真皮、皮下組織、からなり、さらにそれぞれがいくつかの層に分かれています。そこの部分を解説するとともに、付属器である毛、脂腺、汗腺、などについても触れていきます。

各層については、表面側の層から順に説明していきます。

表皮

角質層

角質層は、核を失った扁平な死骸となった角化細胞の層です。体表を刺激から守ったり、体内の水分を保持したりしています。

顆粒層

顆粒層は、ケラトヒアリン顆粒で満たされた細胞の層です。この層には閉鎖帯があり、外部からの物質の侵入を防ぎ、内部から水分が逃げないようにしています。

有棘層

有棘層は、細胞間隙に棘のように細胞が突き出しています。ここではデスモソームが形成されています。

ここにはランゲルハンス細胞があり、これは侵入した抗原物質を取り込み、リンパ節に移動してT細胞に抗原提示をします。

基底層

基底層は、円柱状の細胞が並んでいます。この層では角化細胞が新生していっています。

細胞の上部にはメラニン顆粒が存在しており、これはメラノサイトという細胞が樹状突起によって分配しているものです。

メルケル細胞がここにはあり、触覚や圧覚の需要をしています。

真皮

真皮は、乳頭層、乳頭下層、網状層、の3層に分けられますが、それらの境界は不明瞭です。乳頭層は、表皮に向かって乳頭のように入り込んでいる部分で、乳頭下層とともに繊細な膠原線維でできています。乳頭層内には、マイスネル小体のような感覚装置が存在しています。真皮の主体となっているのは網状層で、これは粗い膠原線維でできています。

乳頭層には、毛細血管網ができており、これは体表から熱を放出させて血液を冷やす役割があります。それに対して、血液を冷やしたくないときには網状層にある動静脈吻合を通します。

皮下組織

皮下組織は、典型的な疎性結合組織です。皮膚がずれやすい部位では水平方向の線維が多く、皮膚がずれにくい部位では垂直方向の線維が多いです。

ここにはパチニ小体という圧覚の受容器があります。

付属器

毛は、表皮から飛び出している毛幹と皮膚に埋まっている毛根に分けられます。

毛根の先は丸くなっており、毛球と呼ばれます。毛球には下から毛乳頭が入り込んでおり、毛乳頭を包む部分は毛母基と呼びます。毛母基にはメラノサイトが並んでおり、メラニンを毛の細胞に供給しています。また、毛は毛母基から新生しています。

毛には、中心部の髄質とその周囲の皮質があります。髄質の細胞は大きく、角化はあまりしておらず、メラニンは乏しいです。それに対し、皮質の細胞は強く角化し、メラニン顆粒を多く含んでいます。

毛根の周囲は毛包によって包まれています。毛包は、内根鞘と外根鞘に分かれており、さらに内根鞘は内側から根鞘小皮、ハックスレー層、ヘンレ層、に分かれています。

また、毛には脂腺が付属していることも多いです。脂腺は、真皮の中に数個の葉に分かれた丸い腺体を持ち、それらが合流して毛包の上部に開いています。

汗腺

汗腺は、大きく分けて2種類あります。

エクリン腺は、全身に分布しており、水と電解質を放出します。エクリン腺の1番奥の終末部には、基底細胞と表層細胞があります。基底細胞の間の分泌細管は発達しており、ここを介して分泌物を送り出します。表層細胞は糖タンパクの入った分泌顆粒を含んでおり、それを放出します。

アポクリン腺は、腋の下などの特定の場所に分布しており、粘調な分泌物を放出します。終末部の上皮細胞は、上縁に細胞質突起が見られ、それがちぎれ落ちて分泌されます。これをアポクリン分泌と呼びます。



まとめ

普段何気なく見ている皮膚もこれだけの層があるというのにはおそらく驚きでしょう。ましてや、普段見ていない体の内部になるともっと驚きが溢れています。それらを各論でじっくり見ていきましょう。