最近の東大ブームで様々なところに東大生が出ています。
その中でも最高峰「東大理三」「東大医学部」の実情って意外と知られていないのではないでしょうか。
テレビでピックアップされたり、記事に載っていたりするのは、やはりどうしてもインパクトのある部分ばかり取り上げられてしまいます。
実情を語っていこうと思います。
1 別に天才というわけではない
東大医学部生っていうと勉強ができるというイメージが強いと思います。それは正しく、みんなものすごくハイレベルな受験戦争を通過して東大理三に入ってきています。
しかし、なんでもかんでもすぐに吸収できたり、すごく頭の回転が速かったりするのかというとそうでもないのです。
東大理三に入る人の多くは中学生のときから大学受験を意識した勉強を始めています。そして、その勉強量も非常に多い状態をキープし続けているわけです。
もちろん、ある程度効率の良い勉強法を習得したり教えてもらったりしているわけですが、それでもめちゃくちゃ勉強しないと東大理三に入ることはできないのです。
「東大医学部生は宇宙人だ」という有名な(?)言葉がありますが、みんな頑張って勉強しています。
これは、成績が伸ばしたいという強い意識を持っているからこそできたという人も少なくありません。大学の成績というのははっきりしないところが多く、順位なども基本は出ないので、成績が他の科類の人と比べて特別良いかと言われるとそうでもないという現状があります。
2 東大理三≠東大医学部
東大理三と東大医学部は違うよっていう話です。
東大理三というのは入試の時の枠組みで、1学年に100人います。そして、そのほとんどが東大医学部に進学します。
しかし、他の科類からも東大医学部に進学することができ、特に理科二類からは10人以上進学してきます。そのため、東大医学部は1学年115~120人ほどになります(留年なども合わせて)。
理三以外から進学するためには、教養学部時代の成績が非常に大事になってきます。ここでトップレベルの成績を残した人たちが医学部に進学できるわけです。
大学で成績を良くするためには、授業にきちんと出席したり、レポートを丁寧に書いたり、テストで常に良い点を取ったりしなければなりません。これを1年以上続けているというのは実は結構大変です。
そのため、理三以外から進学してきた人たちはおおむね真面目な人たちばかりです。医学部に入ってからも単位を落としたり、遊び歩いていたりという人はほとんどいないかと思います。
3 東大卒タレントには医学部が多い??
東大卒のタレントさんを見ると医学部出身という人がちらほら見られます。
これを見ると「東大理三に受かったすごい人」という感じに見られるかもしれませんが、それは間違いであることが多いです。
これらのタレントさんは医学部健康総合科学科というところの出身で、医学部医学科とは全く別物です。医学科が東大で1番難しいのに対して、健康総合科学科は1番簡単という、医学部は実は変な感じなのです。
そのため「医学科は宇宙人、健康総合科学科は芸能人」という揶揄のされ方をされることがちょいちょいあります。
私がこのブログで語っているのはすべて医学部医学科についてです。健康総合科学科の名前が出てくるのはここだけだと思います。
医学部卒と書いてあるときには、医学科であるかにも注目してみると良いです。
4 クイズは得意じゃないんです
近年のクイズブームのこともあり、東大医学部生だと話すと「クイズ番組出ないの?」と言われることがちょいちょいあります。
しかしながら、いくら受験勉強ができてもクイズは全くできないと言っても過言ではないのです。
受験に求められるのは、限られた範囲の知識を深く学んで広く応用する力です。それを徹底的に鍛え上げることで東大理三に合格できます。
しかし、クイズは浅く広く、ありとあらゆる知識を身につける必要があるのだと思います。そのため、それに向けた勉強というのが不可欠で、受験知識では全く太刀打ちできないわけです。
今、クイズ番組で活躍している東大生の多くが高校時代からクイズ部などで勉強を積んできた人たちです。少なくとも、クイズに向けて勉強していることは間違いないです。
結構勘違いしやすい部分だと思うので書いてしまいました。
5 医師国家試験の合格率は低い?
高校時代に勉強を頑張って、非常に高いレベルで大学に入ってきた東大医学部生たちですが、医師国家試験の合格率は全国平均と変わらないか、なんなら少し低いです。
これには理由が2つあります。
合格率が低い理由の1つ目はカリキュラムです。医学部のカリキュラムについて知らない人は「医学教育ってどうなってるの!?意外と知らない医師養成の現場」という記事をまず見てもらったほうが良いかと思います。
東大のカリキュラムは医師国家試験に向けられているわけではありません。
特に基礎医学その傾向が強いです。というのも、医師国家試験ではまず出ないような深い知識を問われたり、教授の研究について問われたりすることが少なくありません。テストもほぼすべて記述式で、国家試験対策という雰囲気は一切ないのです。
臨床医学になると少しマシになるのですが、それでも国家試験を意識して作っていると考えられるテストは少なく、やはり記述式であることも多いです。
そもそも、2年生の前半までは教養学部理科三類という位置づけで、医学について学ぶことはほとんどなく、スタートがかなり遅れているというのもあります。
4年生のCBTという共通試験のときに、他の大学ではすべての範囲を習い終わっているのに対し、東大では臨床医学を学んでいる最中です。
それでは東大医学部生はどのようにしてCBTや医師国家試験を乗り越えているのかというと、やはり自分で勉強しているわけですね。
医師国家試験に向けて授業やテキストを作っている会社もいくつかあり、そういうところの教材を使ったり、過去問を解いたりして対策を自分でしていきます。
自分で勉強する能力がないとここで失敗してしまうことになります。
合格率が低い理由の2つ目は学生のやる気です。
東大医学部生は医学だけを集中して勉強していないという人も少なくありません。研究をしてみたり、自分でビジネスを立ち上げたり、趣味に没頭したり、ということが結構あります。
意外かもしれませんが、クラブに行ったり、飲み歩いたりしている人も学年には何人かいます。
そうやって他のところに力を注いでいて、そのまま医師国家試験に合格しなくて終わるという人が出てくるわけですね。
あとは、効率的に済まそうと考える人が多い傾向にあります。医師国家試験では高得点をとっても仕方がないということもあり、ギリギリを目指してしまう人も多いです。その結果、ギリギリ合格点を下回ることもあり得るのです。
これについては面白いことが起きていまして、昨年のCBTでは東大医学部生がビックリするくらい高い点数を叩き出しました。普段であれば8割取れれば上位層という感じのテストなのですが、コロナでみんな暇だったせいか、8割とっても下から120人中100番目くらいということになってしまったのです。
やはり、他のことに時間を割けなくなったときの東大医学部生はすごいんだなと感じた出来事でした。
6 研究志望は少ない
東京大学では研究が盛んです。これは確かで、医学部でもそれぞれの研究室が盛んに論文を発表しています。
しかし、だからといって東大医学部生がたくさん研究に行くかというとそういうわけではないのです。
実際、研究室に通っている人も1割いるかどうか、そこから実際に研究の道に進む人はさらに少ないと思われます。これでも他の大学の医学部に比べると多いのですが、みなさんの持っているイメージとは違うのではないかと考えられます。
東京大学では研究を推進しています。MD研究者育成プログラムというのもあり、医学部のカリキュラムをこなしながら研究室に通おうというプログラムです。
また、フリークオーターという制度で、必ず研究室に1カ月ほど通わなくてはならないため、必ず研究に触れることにはなります。実際にそこから研究室通いを始める人もいます。
ただ、なんやかんやで臨床に行ってしまう人が多いです。せっかく医師国家試験に通ったのだからというのもあるかもしれません。しかし、それ以上にカリキュラムが影響しているのではないかと私は思います。
基礎医学を習うのが3年生の時なのに対し、4年生で臨床医学を習い、5~6年生で病院実習を行います。そうしたら自然とそのまま病院に勤める感じになってしまいそうですよね。
確固たる意志がないとなかなか研究者になろうと大学院に進めないのではないかと感じています。
7 綺麗な人が多い(気がする)
最近、東大医学部からミスコンやミスターコンに出る人が多くなっています。
実際、ミス日本を獲得した人がいたり、東大ミスコンでグランプリを獲得した人がいたりします。2021年のミスターコンではファイナリスト5人中2人が東大医学部生となっています。
なんとなく「勉強ができる人は容姿はそんなに良くない」と考える人がいる気がするのですが、それが覆ってきている証拠なのかなと感じます。
あくまで私の主観ですが、女の人は特に綺麗な人が多い印象です。綺麗で落ち着いている感じですかね。男の人はいわゆる勉強している感のある人が多いのは事実なのですが(もちろんそうでない人も多いです!)。
まとめ
東大医学部について、みんなが知らないと思われることについて書いてきました。
イメージと実情は意外と乖離しているのではないでしょうか。
他にも東大についての記事を載せているほか、「こういうのが知りたい」というのがあれば追記していこうと思うので、ぜひTwitterなどで教えてください!
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