生化学

生化学の具体的な内容に入る前に、まず細胞に関する基礎知識をおさらいしたいと思います。

知らない単語が出てくるかもしれませんが、後の内容で詳しく説明するので、とりあえずパッと読んでもらえば十分だと思います。

細胞とは

人間の体は数十兆個の細胞で出来上がっています。

最初は受精卵という1個の細胞から始まり、それが分裂していき、細胞ごとに異なる機能を備えるようになります。そして、細胞が集まり組織になり、組織が集まり器官になります。

異なる機能を持つ細胞たちであっても、基本構造は同じものがほとんどです。最も一般的な細胞モデルについて解説していきます。

細胞の構造

ここからは細胞がどのような構造を持っているかを一つずつ解説していきます。

細胞膜

細胞膜とは、細胞表面を覆っている膜のことです。

膜の主な成分はリン脂質といいます。リン脂質には親水性と疎水性の部分があり、疎水性の部分が向かい合って脂質二重膜という構造を作り出します。つまり、細胞膜は2層のリン脂質の層でできているわけです。

細胞質

細胞内の細胞小器官以外の液体部分を細胞質と呼びます。

細胞質では、水の中に大量のイオンやタンパク質があるコロイド状態になっており、そこでは様々な反応が起こっています。

細胞骨格

細胞の形を保ったり、物質を運んだり、細胞を動かしたりするためにある繊維状の構造を細胞骨格と呼びます。

細胞骨格の繊維には、微小管、アクチンフィラメント、中間径フィラメントの3種類があります。

核には遺伝情報を運ぶDNAが入っています。DNAは塩基が並んだもので、この塩基の並びが情報として使われます。

核は核膜によって包まれています。核膜にはところどころ核膜孔という穴が開いており、そこで物質の出入りが行われます。また、核内部には核小体という構造も見られます。

DNAは塩基配列を持った2つの鎖が二重らせん構造を作っています。そして、二重らせんによってできた紐は、大量のヒストンというタンパク質の周りに巻き付いていき、凝集されます。このようにしてDNAがまとまったものを染色体と呼びます。

染色体は誰でも持っている常染色体が22種類、性染色体であるX染色体とY染色体、があります。常染色体は父親と母親からそれぞれ1セットずつ受け継ぎ、同じ種類の染色体を2本ずつ持つことになります。この同じ種類の2本を相同染色体と呼びます。そして、性染色体のうち、XYを持つのが男、XXを持つのが女、となります。

リボソーム

リボソームでは、タンパク質の合成が行われます。

核からmRNAがやってきて、その情報をリボソームでタンパク質に変換します。厳密には、アミノ酸を連ねていくという作業をここで行います。

小胞体

小胞体は、細胞内にある膜につつまれた袋のような構造です。

これには2種類あり、リボソームが表面にくっついている粗面小胞体とくっついていない滑面小胞体です。

ミトコンドリア

ミトコンドリアはエネルギー物質であるATPを合成しています。

糖などの最終的な酸化を行い、その過程でATPを生み出しています。そのため、ここでは多くの酸素を使うことになります。

また、外側の膜と内側の膜の2つがあり、内側の膜の中を内腔、内側と外側の膜の間を膜間と呼びます。

リソソーム

リソソームは色々な物質を分解します。

リソソームの中は酸性になっており、そこで働く消化酵素が物質を分解していきます。

ゴルジ装置

ゴルジ装置は合成されたタンパク質に糖鎖をつけたり、糖鎖をつけたタンパク質を必要な場所へ輸送したりします。

ペルオキシソーム

ペルオキシソームはオキシダーゼなどの酵素を使って、色々な物質を酸化します。



まとめ

ここでは細胞内にどのようなものがあるのかというのを説明していきました。この先では、これらがどのように働くのかというのを見ていくことになります。