タンパク質の合成の話をしたのですが、合成されるからには分解もされなくてはなりません。タンパク質分解に使われる2つの仕組みについて語っていきます。
ユビキチン・プロテアソーム系
1つ目の方法がユビキチン・プロテアソーム系です。これは特定のタンパク質を分解する仕組みになっています。
まず、分解したいタンパク質にユビキチンという物質をくっつけていきます。最初のユビキチンは標的タンパク質のリシンというアミノ酸にくっつきます。そして、そのユビキチンに次のユビキチンがくっつき、さらにその次、という感じでユビキチンの鎖を伸ばしていきます。このユビキチンが4つ以上連なると、プロテアソームに反応されることになります。
次に、タンパク質をほぐしていきます。プロテアソームは2つの部位に分かれており、その片方が標的タンパク質を選択してほぐす作業をしていきます。タンパク質は折りたたまれた状態で機能するので、それをほぐさないと分解しにくいわけです。ほぐした結果、タンパク質が1本のひも状になります。
最後に、プロテアソームのもう1つの部位でひも状になったタンパク質を細かく分解していきます。
オートファジー
2つ目の方法がオートファジーです。これは非選択的にタンパク質や細胞小器官を分解していくものです。大隅良典先生がノーベル賞を受賞したときの題材でもあります。
まず、オートファゴソームというものが形成されます。これは小胞体から生成され、小胞体と同じように膜からできています。そして、このオートファゴソームが周りにあるタンパク質を包み込みます。
次に、オートファゴソームとリソソームが融合します。リソソームは消化酵素を含み、様々な物質を分解する能力を持ちます。
最後に、リソソーム内の消化酵素がオートファゴソームの包み込んだタンパク質を分解します。
非選択的と呼ばれるのは、オートファゴソームは自分の周りのものをとりあえず包み込むと考えらえれているからです。最近では選択的オートファジーというのも見つかってきていますが、基本は非選択的と考えておいてください。
タンパク質分解の意義
タンパク質分解には主に2つの意義があると考えられます。
1つ目は、古くなったりいらなくなったりしたタンパク質を取り除くためです。タンパク質も古いものだと機能が悪くなってくることが多いです。また、ある場面では必要になったけれど今は必要ないというタンパク質も出てきます。それらを分解して取り除き、細胞内をきれいに保っています。
2つ目は、分解してできたアミノ酸を再利用するためです。体の中に常にアミノ酸が豊富に存在するわけではありません。お腹がすいているときには細胞もアミノ酸が足りていません。また、生まれたての子供はお母さんからの栄養の供給が止まるので、そのときにもお腹がすいたのと同じ状態になります。
このときに、細胞内にあるタンパク質を分解して、新たなタンパク質を作り出すための材料を手に入れているわけです。実際に、お腹がすいた状態だとオートファジーが活性化することが確認されています。
まとめ
タンパク質を合成するのと同時に分解も非常に大事です。
オートファジーは日本人が見つけたということもあり、結構日本語の文献も多いので、詳しく知りたい人はぜひ読んでみてください。
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