1個の受精卵から数十兆個の細胞になるまでに細胞分裂を繰り返していきます。この細胞分裂がどのようにして起きるのかを語っていきます。
細胞周期
細胞分裂において、細胞は4つの期間に分けられます。
G1期は、DNAを複製する準備をする期間です。細胞が分裂するとき、2倍量のDNAを作っておいて、それを分裂先の2つの細胞に振り分けます。そのDNAを作るための準備期間がG1期です。
S期は、実際にDNAを複製している期間です。詳しい複製の仕方は後で述べます。
G2期は、細胞を分裂させるための準備期間です。
M期は実際に細胞分裂をしている期間です。ここも後で詳しく述べます。M期が終わるとまたG1期に戻っていきます。
活発に細胞分裂している場合、この1周期が大体24時間ほどになります。
DNAの複製
DNAは塩基配列を持った2本の鎖が二重らせん構造を作っています。それぞれのDNAの鎖には向きがあり、互いに逆向きになっています。具体的には5’→3’と3’→5’という向きがあります。
二重らせん構造を部分的に切り開き進め、そこで複製を行い、複製したところは閉じていきます。このときに、DNAの複製にも向きが決まっていて、それは3’→5’という向きです。そのため、元々3’→5’という向きだったDNA鎖はスムーズに複製が行われていくのですが、5’→3’のほうはそうはいきません。
そこで5’→3’の鎖では、二重らせんを切り開いた長さ分だけ3’→5’の向きに複製して作った短い鎖を何個も作っていきます。これを後から互いにくっつけて、長い鎖を作っていきます。
3’→5’という向きの鎖から複製されてできる長い鎖はリーディング鎖と呼びます。5’→3’という向きの鎖から複製されてできる小さな断片を岡崎フラグメントと呼び、それがくっついた鎖をラギング鎖と呼びます。
こうしてできたリーディング鎖とラギング鎖がまた二重らせん構造を作って、もう1セットのDNAが出来上がるわけです。
体細胞分裂
2倍になったDNAは、染色体の数も2倍になっています。その染色体を2つの細胞に同じように半分ずつ分配していきます。
まず、染色体が小さくコンパクトにまとまります。これによって運ばれやすくなります。このときに核がなくなっていきます。
次に、紡錘体という構造が細胞内に2つ作られます。この紡錘体は紡錘体極と微小管からなり、微小管は染色体の動原体という部分に結合しています。2つの紡錘体極に向かって、染色体が微小管をによって引き寄せられ、2倍になった染色体が2カ所に分かれます。
最後に、細胞の真ん中で細胞がくびれ、細胞が2つにちぎれて2つの細胞が出来上がります。それと同時に、染色体が元に戻って、核が再び形成されます。
減数分裂
細胞分裂にはもう1種類あります。それは減数分裂です。これは精子や卵子という配偶子を作るときに起こるもので、名前の通りに染色体の数が減って半分になります。
まずは、体細胞分裂のときと同じように染色体の数が2倍になります。
次に、減数第一分裂が起こります。ここでは2つに細胞が分かれるのですが、染色体の別れ方が体細胞分裂のときとは異なります。体細胞分裂では2つの細胞に同じように染色体が分配されるのに対して、減数第一分裂では分裂したそれぞれの細胞は相同染色体のうち片方だけを2本ずつ持つようになります。
最後に、減数第二分裂が起こります。これは、減数分裂第一分裂でできた2つの細胞がさらに2つに分かれます。このときに、相同染色体のうち片方だけを2本ずつ持っていたのが、2つの細胞に同じように半分ずつ分配されます。最終的に、22本の常染色体と1本の性染色体の合計23本を持った細胞が出来上がるわけです。
まとめ
DNA複製は特に面白い分野で、医学部ではもっと詳しく色々な機構を学ぶことになります。一般の方でも気になる方はぜひ調べてみてください。
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