組織学

腹部の臓器としては私たちにも認識しやすい消化器系に入っていきます。今回は、その最初の部分である口を解説していきます。

口唇

口唇は、横紋筋と脂肪組織を中心として、顔面側は皮膚、口腔側は粘膜で覆われています。

皮膚側の構造は皮膚のページで解説したとおりの構造となっています。

粘膜側は、厚い重曹扁平上皮で、角化細胞とランゲルハンス細胞があります。皮膚との違いとして、表層の角化細胞にも核が残っているということが挙げられます。上皮の下には粘膜固有層という薄い疎性結合組織の層が見られます。

舌は、大部分が筋肉でできています。筋肉は主に3種類で、外舌筋、内舌筋、横舌筋、があります。これらは粘膜固有層のすぐ下にある舌腱膜にくっついています。

 

舌の上皮は扁平重層上皮で、表面には4種類の突起があります。

糸状乳頭は、表面が角化することによってザラザラしており、食べ物を舐めとりやすくしています。

茸状乳頭は、キノコの形をした乳頭で、各乳頭には味蕾が数個ずつ散在しています。

有郭乳頭は、大きな乳頭で、7~12個ほど存在しています。この側面には味蕾が配置されています。乳頭の間の濠にはエブネル腺があり、この分泌する漿液によって濠の水を洗い流して常に味蕾が新しい刺激を感受できるようにしています。

葉状乳頭は、舌の後部の側面に並ぶ多数のひだの集合体であり、多数の味蕾が配列しています。

 

味蕾は、上端部の上皮が落ち込んで味孔をなし、味物質はこの孔から味蕾の上端部を刺激します。

歯は、外形上では上の歯冠と下の歯根の2つの部分からなります。物質としては、エナメル質、象牙質、セメント質、の3つから構成されています。

エナメル質

エナメル質は、人体組織で最も硬く、歯冠を覆っています。エナメル質には、エナメル小柱とその間を満たす小柱間質があります。小柱にはエナメル芽細胞が11で対応しています。

小柱の並び方によって見える、縦断面での縞模様をシュレーゲル条紋とよびます。シュレーゲル条紋に直交する方向に年輪のような成長線が見られ、これをレチウス線条と呼びます。

象牙質

象牙質は、歯の主体をなしています。象牙芽細胞は歯髄腔にあり、そこからトームス線維を伸ばしています。象牙質の細胞間質は、コラーゲン細線維とリン酸カルシウムからできています。

セメント質

セメント質は、歯根の象牙質を包んで、歯を顎に固定しやすくしています。

セメント質は主にコラーゲン細線維とリン酸カルシウムからなり、そこに歯根膜からシャーピー線維という膠原線維が突き刺さっています。

セメント芽細胞は、歯根表面に1層に配列しており、物理的な刺激に応じてセメント質を追加します。

唾液腺

唾液腺は、終末部の腺細胞で唾液を作り、そこから介在部、線条部、導管、を経て、粘膜表面へとつながります。唾液には、粘性の低い漿液と粘性の高い粘液の2種類があります。

唾液腺の種類は主に3つです。漿液を出す耳下腺、漿液のほうが多い混合腺の顎下腺、粘液のほうが多い混合腺の舌下腺、です。



まとめ

口とひとことで言っても上のように複数の部分に分かれています。それぞれの根本的な構造をきちんと押さえておきましょう。