様々な英語試験の特徴と難易度を比較【共通テスト・東大英語・英検1級・TOEIC・IELTS】

世の中には英語試験がたくさん用意されており、それぞれが特徴を持っています。

ここで、1つの疑問が浮かんできます。「結局どれが難しいの?」というものです。

色々な英語試験を受けてきた私がそれぞれの特徴と難易度について考察していこうと思います。

 

今回難易度比較していくのは以下の5つです。

  1. 共通テスト9
  2. 東大英語7
  3. 英検1
  4. TOEIC900
  5. IELTS7.0

点数の設定は私の恣意的なものですが、これらの試験に向けて英語を勉強する人としては標準的な点数としているつもりです。

 

それではまず1つひとつの試験について、私が受験した経験をもとに語っていこうと思います。



共通テスト9

TOEICに似た雰囲気に変更

センター試験時代のリーディングはさまざまな形式の問題を取りそろえているというイメージでしたが、それが読解のみを重視しているという感じに変更されました。

スピード感といい、形式といい、TOEICに似たような雰囲気を持っていると言えます。

リスニングも一部1回放送になったりと、一般的な英語試験に合わせようとしている感じが伝わってきますね。

共通テストの難易度と特徴

受験生が大量に受ける試験ということもあり、難易度は高すぎず低すぎずという感じになっています。

トップレベルの生徒は満点が狙えるものになっているので、9割であれば普通に取れるようになっています。東大京大を受ける人は当たり前のように9割は目指すべきです。

時間制限が厳しくなったという声は聞きますが、実際はそこまで厳しくはありません。あくまで、高校生たちがたくさん受けるためそう感じる人たちが多く出てきてしまったというだけです。

東大英語7

東大入試における英語

東京大学では共通テストと2次試験の両方で英語が課されており、唯一文系理系で同じ問題を解く科目になっています。

2次試験では440点中120点を占めていますが、東大入試ではある科目がめちゃくちゃ得意だと苦手科目はできなくても合格できてしまうため、意外と英語全然できないという人は多いと思います。特に理系だとそれが顕著です。

ただ、入試英語の点数で入学後の英語クラスが分けられてしまうことも考えると、真面目にやっておけると良い授業も受けられるのかなとは思います。

東大英語の難易度と特徴

東大英語の特徴として問題形式が非常に多いというのが挙げられます。具体的には、英文要約、空所補充、和文英訳、自由英作文、リスニング、正誤問題、英文和訳、小説読解、という感じです。

これらを120分で解くというのは、他のどの英語試験よりも時間制限が厳しいと言えます。

例えば、最初の英文要約では、10分で400語程度の長文を読んで80字程度の日本語で要約する、というのが求められます。かなりのスピードで読みつつ、頭の中で重要ポイントを整理して、80字にまとめなければならないというのが想像できるかと思います。

他の問題もこのくらいのスピード感が常に求められているわけです。

 

この中で7割を取るというのは結構難易度が高いです。実際、東大合格者の中で上位10%ラインが7割ぐらいとなっています。TLPに入るための条件もこのくらいです。

単語と文法を完全に固めたうえで、各技能の演習を重ねていきつつ、本番形式の問題で時間配分について調整をしてなんとか取れるレベルになっています。対策にかかる時間としても他の英語試験に比べても大変だと思います。



英検1

英検は最初に手を出したい英語試験

英検は段階的にレベルを伸ばしていける良い試験だと思っています。そのため、大人になって英語を学びたいと考えている人はここから始めていくのが最もスムーズに進むのではないかと思います。

2級までは文法と単語を一つひとつ、学校のカリキュラムと同じような感じで学んでいけるようになっています。5級、4級、という感じで毎回近いところに目標をおけることでモチベーションを保ちやすいというのも特徴です。

 

5級、4級,3級がそれぞれ中学13年生に対応しており、ここまでの範囲は満点近くを取れるようにしておきたいものになっています。満点近く取れれば、最低限身につけておきたい文法と単語を網羅できるはずです。

2級、2級になってくると、高校生レベルに達して少しレベルが上がるイメージです。リーディングとリスニングだけでなく、ライティングやスピーキングも重要視されてくる段階で、アウトプットも大事になってきます。

1級、1級、となると一気にレベルが上がってきます。ここからは新しい文法事項はほとんどなく、ひたすらに単語を覚えていく段階になります。本当に覚える単語が多いのが特徴で、それに合わせてライティングやスピーキングで使う語彙力も高いものが要求されるようになってきます。

英検1級の難易度と特徴

本題である「英検1級の難易度と特徴」についてなのですが、単語の難易度と量が圧倒的で、それによって難易度が上がっているという感じになっています。

私は、英検準1級を持ったうえで、英検1級のために単語熟語合わせて5000個くらい覚えました。そのくらい単語力がすごく求められる試験なのです。

 

その分、問題自体は非常にシンプルな作りになっており、単語の意味さえ分かっていればリーディングはほぼ満点を狙えるレベルです。

リスニングも、単語のレベルが高いというだけで、問われる内容はやはりシンプルになっています。

ライティングも、文法が合っているかどうかと題意に沿っているかが主に問われているため、それほど卓越したライティング力は求められていないようです。

スピーキングはスピーチが難しいというのはありますが、ある意味標準的な形式で、トピックも割と普通のものが多いです。さらに5つのトピックから選ぶ形式ということもあり、自分の得意な内容で話せる可能性も高くなっています。そういう意味では優しさが見える試験です。

 

単語をたくさん覚えるのは大変ですが、ほとんどそれだけの試験という感じではあるという感じです。

TOEIC

TOEICは日本では評価される

日本ではかなりTOEICが人気ですよね。そのため、TOEICの点数で結構英語力を評価してもらえる傾向があります。

企業なども英語力の指標としてTOEICを使っている場所は多く、資格として活用するなら1度は受けておきたい試験になっています。

 

TOEICが人気な理由として、私はTOEICという試験のわかりやすさがあると思っています。

リーディングとリスニングのみで、さらにマークシート方式です。そのため、インプットできた分だけ点数が上がりやすかったり、時間配分の工夫などが一種のゲーム性を帯びていたりするのではないかと思います。

どうしても、ライティングとスピーキングは人に評価されるもので、自分で勉強していく中での成長を実感しにくい傾向があります。マークシート方式のリーディングとリスニングであれば、わかりやすく自分の成長が見られるというわけです。

TOEICの難易度と特徴

TOEICの難易度と特徴についてですが、TOEIC900を基準に考えていきます。この点数を取れば大体の企業でかなりの高評価がもらえるはずです。

 

TOEICでは単語力はそこまで必要とされていません。見たこともないような単語は基本的に出てこないです。

それでは何が求められているのかというと、それは処理能力と集中力だと思っています。

大量の問題がどんどん出されていくなかで、それを時間内に適切に処理し、ミスをしないようにし、さらに長時間続けなければなりません。

読解力やリスニング力が上がると、1問ごとに使わなければならないエネルギーが減ることは確かですが、それでもあの問題量をこなすとかなり疲労します。

そういう意味で、ある程度実力がついてきた段階で、本番形式の演習を重ねていき、この処理能力と集中力を身につけていけると結構な点数が取れると思います。

 

単語力はそれほど求められず、問題自体も難しくないが体力は必要、という意味で、難易度はあまり高くないと言えます。

ただ、これは900点を目指すだけならという話で、満点を狙うとなると一気に難易度が上がると思われます。何回も受けてようやく取れるものだと言えるので、英語教師を目指しているなどの本気の人は頑張ってみると何か変わってくるのではないかと思います。

IELTS

IELTSってそもそも何なのか

IELTSは世界で最も権威のある英語4技能試験と言われている試験です。実際、世界では年間300万人ほどが受験しており、海外大学ではIELTSのスコアを留学の基準としているところがほとんどです。

日本ではTOEICTOEFLのほうが有名で、IELTSはほとんど知られていないように思われますが、東大ではIELTSが重視されているなど、大学などのアカデミックな場所で重視されている傾向があります。

各技能1.09.00.5刻みで採点され、その平均が全体スコアとなります。海外の大学では、6.57.0くらいが留学条件として求められることが多いです。東大の英語上位クラスの基準も7.0となっています。

IELTSの難易度と特徴

IELTS4技能のバランスがきちんと取れていないと高得点が取れないという意味で難易度は高くなっています。IELTS7.0の難易度について考えていきます。

 

リーディング、リスニングはマークシート方式と穴埋め方式になっていて、問題自体の難易度はそれほど高くありません。非常にシンプルな形式でもあるので、7.0程度であればきちんと入試に通った大学生なら普通に目指せる範囲ではないかと思います。

スピーキングも形式は質問に回答するのとスピーチを行うという意味で英検1級に非常に似ています。ただ、トピックは1つしか与えられないので、それについて喋れないとどうにもならないという厳しさはあります。採点はそれなりに厳しく、英検1級合格ラインの人だと6.5~7.0くらいに落ち着くかと思います。

 

IELTSで特徴的なのがライティングです。2つ作文を書くのですが、1つ目はデータなどを見てそれの解説、2つ目は自分の意見を述べる、という感じになっています。

このライティングが本当に難しいのです。というのも、文法的に合っているというだけでなく、英語として洗練されているかなども採点対象となります。これはネイティブでもなかなか高得点を取るのが難しく、日本の大学生だと6.0を取るのすらも割と大変です。

リーディングとリスニングで稼いでおいて、スピーキングとライティングのぶんを補うという戦略を取ることになると思います。

 

難易度としては、東大上位クラス(東大上位1割)の基準が7.0ということもあり、7.0を取ることも結構大変だということがうかがえます。実際に、周りの東大医学部生でも7.0に届かなかった人は普通に多いので、バランスよくすべての技能を高いところで安定させるのが難しいのだと思います。



結局どれが難しいのか

私としては、東大英語7割、IELTS7.0、英検1級、TOEIC900、共通テスト9割、の順に難しいと感じました。

 

東大英語7割については、あれだけ勉強を重ねている東大理三生ですら半分以上は届かないという難しさなわけです。

高校1年生で英検1級とTOEIC925を取った私も、そこから勉強を重ねて高校3年生の秋頃にようやく7割ほどとれるようになったという感じです。それだけ対策に時間がかかり、そのうえで取れないかもしれないというのはやはり非常に難しいと感じます。

 

IELTS7.0は東大の評価では東大英語7割に相当するらしく、それだけ難しいのだと思います。

ただ、比較してしまうと、リーディングについては東大英語で7割取れるのであればちょっと演習を積むだけで8.0は十分目指せると思います。リスニングも形式に慣れてしまえば、7.0は普通に取れるはずです。

ライティングがかなり難しいですが、文法が整っていて形式に合わせて練習していれば6.0には乗りますので、スピーキングでも6.0以上取れてしまえば全体で7.0は目指せるはずです。

東大英語7割に近いレベルですが、東大英語7割取れている人はIELTS7.0を少しの勉強で取れると思われるのに対して、逆は成り立たないのでこのような順にしました。

 

英検1級は解説した通り英単語暗記ゲームです。

もちろん、ライティングやスピーキングもありますが、ライティングは普通の大学受験レベルで、スピーキングもそこまで難易度が高いものにはなっていません。

ものすごい量の英単語を覚えなければいけないことを難易度が高いと呼べるのかどうかですが、時間をかければ多くの人が乗り越えられるものだと思います。

 

TOEIC900については、私は英検1級を取った直後に本番形式の問題を少し解いただけで取れてしまいました。リーディングとリスニングだけでマークシート方式だというのも簡単だと思われる要因です。

ただ、集中力が続かずに最後のほう一気に落としてしまうなどが考えられるので、そういう意味ではTOEIC900を取るのはちょっとだけ難しくなるのかなと思います。

 

共通テスト9割は難関大学受験を志す人ならみんな取れてほしいレベルになっています。途中で多少考え込むところがあったとしても時間制限的には間に合うようになっているので、TOEIC900取れる人なら共通テスト満点も十分取れるはずです。



まとめ

英語試験にはそれぞれの特徴があります。その特徴を踏まえたうえで、試験を選んだり対策をしたりすることが重要です。

 

色々と受けてきた経験上、英語試験を使って本気で英語力向上を目指すのであれば

・英検1級レベルの単語力
・東大英語7割レベルの文法力と速読力
IELTS7.0レベルの4技能総合力

が身につけられると良いと思います。

 

ここまで行けたら試験以外のところで英語を活用しながら学んでいくというスタイルに持っていけると、実用性をさらに高めていけると思います。

私も英語勉強を続ける身として頑張っていきたいです。一緒に頑張りましょう。